『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 青い瞳のキャスバル』を見て
一年戦争の9年前のU.C.0068、ジオン・ズム・ダイクン暗殺から遺児キャスバルとアルテイシアが地球に逃れるまでのお話。
この後の世を知っているわけですから、一つひとつのエピソードに胸が熱くなるものがあります。
キシリアに手錠をはめられたキャスバルが
「大きくなったらあなたたちを従えるんだ」「キャスバル・レム・ダイクン命令する。今すぐこれを外せ」
というシーンに、
「いざとなってみると怖いものです。手の震えが止まりません」
一年戦争末期、シャアが上目遣いでキシリアの様子を伺うシーンを思い出します。しおらしくして見せているだけね、と。
キシリアとキャスバルの対決が描かれたために、「3歳ごろのキャスバル坊やと遊んであげたことがあるのだよ。お忘れかい」につながらないのが残念です。
ガンタンク初期型のコックピットに乗り込んだキャスバルが、砲撃してすぐにペダルを一気に踏み込み車体を動かすころに後の赤い彗星の片鱗が見え、テンションが上ります。
渡辺岳夫先生の、聞いたことのある曲が流れたりするところもテンションが上がるポイントでしょうか。
いわゆるファースト世代(の若い方!)の私はガンダムA(エース)に連載当時、THE OROGINでは年齢や容姿などキャラクターの設定がかなり変わっていることに不満でしたが、映像化されたものを見てその不満も少し解消です。
機動戦士ガンダムが宇宙世紀という時代の歴史上の人物を描いた大河ドラマだと考えた場合、誰を主人公にするか、監督、脚本、演じる役者が変われば一人ひとりのキャラクターが変わってくる。例えば秀吉や家康が主人公であれば、信長は魔王として描かれるし、新選組が主人公なら薩長の倒幕派は悪役に描かれるように。
そう考えれば、これはこれでアリなのだろう。
年齢設定だけはちょっと不満が残るけど。
次はキャスバルとアルテイシアが地球に逃れてから、キャスバルが出奔するまでのお話。
どんな描かれ方になるのか楽しみです。